2017年1月17日火曜日

フィンランドでのオーロラ撮影

年末年始の休暇を利用し、9割衝動的にフィンランドへオーロラを見に行ってきました。元々オーロラはバケットリストに入っていたので必ずしも思いつき、というわけではないのですが、従来から予定していた南極ツアーは適当なのが見つからず断念せざるを得なかったのと、クリスマス時期の仕事で疲弊してアフリカにいく気力がなかったので。あと、不思議なことにブリティッシュエアウェイズのロンドン単純往復のチケットよりもロンドン経由ヘルシンキ行きの同じくBAのチケットの方が格段に安かったので。

事前に付け焼けば的に調べていましたが、実際に行ってみてわかったこともあるので、その辺のことを書きます。これから行こうとしている人の参考になれば。質問があれば遠慮なくコメントにでもどうぞ。すべての日程をまとめて書くのでいつもよりもちょっと長いです。


○目次
・ヘルシンキ入り
・タリンへ
・ロヴァニエミへの移動
・サーリセルカ
・オーロラツアーとオーロラ撮影

まずはヘルシンキに入ります。この日は12月31日でした。去年はサハラで年を越したので、それと比べるとえらく地味です。どこかの広告で年越しイベントが大聖堂前で行われるとあったので22時半頃に現地に行ってみましたが、多少人がいる程度で、大々的な何かが行われる雰囲気ではありません。中東系移民ぽい人たちが花火で騒いでいるぐらい。肩すかしを食らった気分でホテルに帰ると、日付が変わるぐらいから大聖堂の方向から花火がバンバン上がっているではないですか。


後から聞いたところによると、23時半ぐらいから人が集まり始めたそうです。

翌日の1日はヘルシンキから海を隔てたエストニアのタリンという街に日帰り旅行です。僕の好きなSONYのαclockでも取り上げられた、世界遺産になっている街です。ヘルシンキからだとフェリーで2時間ほど、料金も往復40ユーロぐらいです。


タリン行きのフェリー乗り場、エスプレッソとクロワッサンで7ユーロ!やはり物価が高いですねぇ。
帰りのフェリーは行きと少し構造が違うようでした。しかも人が多い。
タリンは期待していたほどはよくなかったです。なぜこれが世界遺産?ずーっと昔から中世からあるからでしょうか?





予めチェックしていたところは一通り回りましたけど、格別フォトジェニックというところはなかったような。自分の感性が鈍くなっているから?個人的には11月に行ったドイツのほうがよかったです。




◆タリンへの行き方
ヘルシンキからフェリー。乗り場は西フェリーターミナルです。だいたい2時間くらい。中央駅からは歩いても30分くらい。トラムだと15分くらい。フェリーの会社は何社かあって料金と所要時間が異なります。一番大きいのはTALLINKというところか。タリンのほうで、この会社だけ独立した乗り場を持っています。

このウェブサイトで料金と時間帯の比較をすることができます。
http://www.directferries.co.uk/helsinki_tallinn_ferry.htm



翌日はヘルシンキからロヴァニエミへ移動です。ロヴァニエミで特に何かしたいという訳ではなかったのですが、フィンランドで電車に乗りたかったのです。


フィンランドで電車に乗ろうとするとある意味北限がロヴァニエミで、最終目的地のサーリセルカにはそこからバス移動になります。ヘルシンキ~ロヴァニエミの鉄道は所要時間約8時間、料金はエコノミー席で80ユーロでした。距離からすると安いかと思いますが、もう2度とは乗らないです。乗り心地は決して悪くないです。ICとついている位なので、ドイツ鉄道に匹敵するくらいきれいな車両だし、食堂車もついているし、時間に正確だし(途中のオウルでの乗り継ぎ時間が8分だったのに余裕で乗換できました)、列車自体に不満はありません。ただ長すぎるのです。


時間に限りがある人だったら、ヘルシンキからは飛行機にして時間を節約し、その分、サンタ村に行くとかした方がいいと思います。

ロヴァニエミで泊まったのはLapland Hotel系列のところです。


期せずしてサーリセルカでも同じ系列に泊まることになりました。ここは街からちょっと離れていてタクシー必須ですが、小高い丘の上にあり、さらに展望台的なのがホテルに設置されているのでここに上がれば、運が良ければオーロラが見られるという触れ込みです。

ロヴァニエミからのバスはバスターミナルです。ホテルからはタクシーで15ユーロくらいです。ターミナルに小さいキオスクが併設されています。水等も売っていますが高いので時間があれは、すぐ近くのスーパーがおすすめです。K City marketというところです。
このバスはサーリセルカに着くと主要なホテルのすぐ近くで泊まってくれます。サーリセルカで主要なホテルというと、ホリディ・イン、トゥントゥリホテル(サンタホテル)、リエコンリンナでしょうか。

サーリセルカのホテルはリエコンリンナというところ。


まぁ悪くはないです。でもちょっと古いかも。昔行った蓼科にスキーに行ったときに泊まった蓼科山荘を彷彿させました。1つとても残念なのがサウナが部屋になく、共用のものが15時~21時までというところ。オーロラツアーで一緒になった人の多くはトゥントゥリホテルに泊まっていて、ここのゲイラスというところは各部屋にサウナがついているらしい。これは超うらやましい。このリエコンリンナにはノルディックジャパンのオフィスがあり、オーロラツアーを申し込めます。また、ツアー大手のLapland Safariも大きなオフィス兼ショップを持っているので、ツアーの申し込みや防寒具のレンタルもできます。リエコンリンナの道を挟んだ斜め向かいにトゥントゥリホテルがあり、こちらにはノルディックジャパンとミキトラベルのオフィスがあり、ツアーを申し込むことができます。

サーリセルカというとオーロラのイメージが強かったのですが、誘われてカウニスパの丘に登ってみたらこれがまた絶景。



絶景というか非常にきれいな色の世界が広がっています。当地は北極圏内にあるので冬になると日の昇る時間が極端に遅くなり、11時過ぎでも日が昇っているのか上っていないのかよくわからない状態です。この状況で、丘に登り、頂上から眺めると遠景の空は夜明け前の茜色に染まり、中景には雲海が広がり、目の前には雪原という絶妙な色合いの景色が臨めます。また、反対を見渡せば太陽の光を反射してピンク色に染まった空によるこれまた美しいグラデーションです。ホテル前から、スキーバス(一日券のみ5ユーロ)で頂上まで登れます。


さらに誘われるがままにソリも体験しましたが、これまた意外におもしろかったです。なれればカーブ等もできますし、スピードもそこそこでて爽快です。ただし、めちゃくちゃ寒いです。風速が1メートル増す毎に体感温度は1度さがるとジョルノが言っていましたが、これを実体験できます。

オーロラツアーを催行しているのはミキトラベルとノルディックジャパンの2社。それぞれ違いがあって自分が調べた限りではミキトラベルの方が自分のニーズに合っているかと思ってすべてこっちに参加しました。具体的なミキトラベルの概要は感じです(2017年1月時点)。
・トゥントゥリホテル集合、20時半出発。
・所要時間約4時間強で、88ユーロ。
・基本的に多国籍ツアー。日本人が圧倒的に多いけど、他国籍の人も参加。中国人が多いとフラストレーションが溜まるかも。
・日本人参加者が多いと日本人ガイドが同行。
・サーリセルカの北方約70kmにあるNellimという村近くの橋が目的地で、それまでに1~2カ所観測ポイントに立ち寄り。大きくオーロラが見られ、駐車スペースがあれば止まってくれる
・Nellimのホテルでスープ休憩あり
・トゥントゥリホテルにオフィスがあり、ここで申し込みが可能。その場合、代金はNellimのホテルで支払い(ウェブサイトには現金のみと書いてあったけどクレジットカードでの支払いが可能でした)
・観測ポイントでの滞在時間は概ね20分ほど。でもフレキシブル。寒すぎると長く外にいられないのでこれぐらいがちょうどいい。

今回オーロラツアーに参加して気づいたことも併せて書いておきます。これからフィンランドのオーロラツアーに参加しようと考えている人の参考になれば幸いです。

◆場所
北に行けば行くほど見られる確率は高くなると思います。ロヴァニエミでも見られる的な記述を目にしましたが、それはラッキーな人だと思います。ロヴァニエミは結構都会なので夜になるとかなり明るいです。オーロラの活動がよほどアクティブでないと周囲が明るいところでは見られません。なので、確実に見たいならより北のサーリセルカまで行くといいと思います。もっと北のイヴァロやネリムという選択肢もないこともないですが、あまりメジャーじゃないのでアクセスがよくないのと、宿泊やツアーの選択肢が減ります。

◆時期
気温とオーロラの出現率に相関はないそうです。気温が低い方が雲が出にくく、従ってオーロラが出たときに見られる可能性が高まります。他方で、気温が低すぎると外で長く待っていられなくなります。この辺は痛し痒しですね。極寒の中、無理して長居すると体がおかしくなります。そのせいか見事に風邪を引きました。

◆オーロラの出現確率
太陽風の活動次第なので、アラスカ大学のウェブサイト(http://www.gi.alaska.edu/auroraforecast)で予報を見ながら、というのがいいと思います。訪れられる時期が限定されているのであればもう運としか言えないです。オーロラの活動が活発で且つ天気が良くないといけないという2重のハードルです。僕が滞在していた期間は、アラスカ大学の予報では10段階中の4と5でしたが、やはり5の時にあたるとゆらゆらと揺れるカーテンのようなオーロラを見ることができました。4でもタイミングによってはいかにもオーロラというのと出会えます。ただいずれの日も気温が超低く、マイナス25度~マイナス30度という条件でした。

◆撮影機材
オーロラを写真にきれいに収めようと思うならそれなりの装備が必要です。
・カメラ本体
センサーサイズはフルサイズがベストです。最低でもミラーレスか、マニュアル設定のできるコンデジが必要です。
・レンズ
できるだけ広角で、F値の小さいもの。オーロラはかなり広範囲に出ますので、それらを写そうと思うと広角レンズが必須です。オーロラ単体で撮るよりも山や木など周辺の景色も入れた方が見栄えのする1枚になるので、やはり広角がベターです。オーロラの光は弱いのでできるだけF値の小さいものの方がきれいに撮れます。その方がISOを上げなくて済むのでノイズの少ない写真にもなります。もし星も一緒に入れるなら(というかオーロラがきれいに見られる状況だと星もくっきり見えます)F値が小さい方がシャッタースピードを稼げて星が流れずに済みます。また、シャッタースピードが早い方がオーロラもくっきりします。
ピントは無限遠にあわせます。
・アクセサリ
夜景撮影なのでレリーズは必須です。余談ですが、あまりにも低温(マイナス20度以下)だとレリーズが固まり、断線しないか冷や冷やでした。そして三脚。低温だとバッテリーの減りが早いので予備のバッテリーはあった方が安心です。でも僕の場合は1回のツアーで使うのは1~2個でした。思っていたより減りが遅かったのと、寒すぎて外に長くいられず、各撮影スポットでの滞在時間があまり長くなかったためだと思われます。寒い屋外から暖かいバス内や室内に入った際の結露防止用のビニール袋は必須です。僕は最初ジップロックを使っていましたが、ジップロックのサイズが小さくて使いづらかったのでスーパーでもらった(というか買った)ビニール袋を使っていました。これをかぶせて口を絞っておけば事足ります。怖いのは結露よりも結露した状態で再び極寒の状況に持って行って結露したレンズが凍ることです。
・露出
オーロラの濃さにもよりますが、あるい程度の時間、露光させた方が明るく写ってきれいです。といっても個人的には5秒~10秒程度かなと思います。F値はレンズの一番明るいもので。ISOは1000~1600。僕のカメラだとこれぐらいではノイズが目立ちませんでしたが、APS-Cなんかで高感度耐性が低い機種であれば800程度に落とし、星が流れるの我慢してシャッタースピードを長めにとる(15~20秒くらい?)とよいと思います。ホワイトバランスは好みですが、蛍光灯などで青っぽくすると幻想的です。オートにするとオーロラはかなり緑色になります。ホワイトバランス間違ってるんじゃないかっていうぐらい緑色になります。
これはカメラのスペックによるのであくまでも参考程度に。何枚か撮ってみて自分の好みに調整していくのがいいと思います。

【参考(僕の装備・露出)】
・カメラ本体
SONY α7Ⅱ

・レンズ
SAMYANG 14mmF2.8

・露出
何枚か撮った中ではこの露出が一番きれいかなと思いました。オーロラがはっきりと写り、かつ星も流れていません。オーロラと北斗七星組み合わせが最高にクールです。

 [F2.8 5秒 ISO1600]

0 件のコメント: